速読って実際どうなの??
若い頃、お金が無くても本をたくさん読むにはどうしたらいいか、ということを真剣に考えていたことがあります。
いろいろ考えて出した結論は、まず速読を身につければいい!という安易なものでした。
というわけで、実際に速読の本を読み漁り(この時点では速読は身に付いていませんw)、その中に書いてあることを愚直に練習して行きました。
おそらく速読本だけ一気に20冊以上は読んだと思います。
その結果、ある程度コツを掴んだ私は、例えばビジネス書であれば15分程度で読めるようになりました。
一時期、ちょっと得意げになっていたと思います(塾をやる前、超個人的な話ですねw)。
でも、それは単なる勘違いだったことに気づくのに、おそらく随分と掛かりました。
速読の基本的な考えと落とし穴
速読の極意は、文字を映像化するところにあります。
文字を文字として理解するのではなく、イメージとして掴むことが重要。
そうすると、文字を「読む」というより、文字から浮かぶ映像を「見る」という感覚で意味を掴んでいくことができるようになります。
ここの部分が、おそらく速読初心者の方には掴みにくい部分になるかと思います。
しかし、ここに落とし穴があることについては、速読の本に記述はありませんでした。
まあ、当たり前ですけど・・・。
率直に言って、文字を映像化する、というのは非常に理にかなっている部分もあるのですが、じゃあ、意味が分からない言葉はどうするの?というのが抜けていたのです。
シンプルに、意味が分からない言葉は映像化できませんよね?
だったら、その都度調べるのが本筋ですが、速読の場合、分からないところは大体の感覚で補って乗り切って読んじゃえ!というのがセオリーなわけです。
そのため、速読に慣れれば慣れるほど、おおよその意味を掴むことは出来ても、本質を掴むことは難しい、という現象が起きてしまう・・・。
それが癖になってしまうんですよね。
でも、一冊をあっという間に読んだ、という結果は手に入るので、まあいいかと。
「読んだ」という感覚は本人にしか分からないものですし、誰かにどうこう言われるものではないですからね。
何はともあれ、1日に何冊も読んだという達成感は、それなりに嬉しいものだったりもするので、それで良し、となってしまうわけです。
けど、そんな読み方に、一体なんの意味があるのでしょうか。
たくさん読めばいい?冊数を誇るのが素晴らしい?
いやいや、そうではないはず。
1冊の本をどれだけ徹底的に理解したかが、結局自分の血となり肉となるのです。
皆さんはどう思いますか?
瞬読?一般的な速読との違いって何??
ところで、最近「瞬読」という言葉があるのを知りました。
具体的な内容はよく分かりませんが(あまり興味がないw)、速読を上回るスピードで読むことが出来る読書法のようです。
けど、それが一体なんの役に立つのでしょうか?
自分にとって本当に役に立つかもしれない、人生にとって最高のターニングポイントになるかもしれない読書を一瞬で済ませて、一体何が得られるというのでしょうか?とタテついてみますw
というのも、私は大学院時代、いくつもの論文をあっという間に読んでしまうことで相当苦労したからです。
なぜなら、自分では読んでるつもりでも、まったくその内容を理解していなかったからです。
それに気づかされたのは、恩師である担当教授K先生の一言でした。
「加藤さん、あなたはなんでそんなに早く読むんですか?もっとゆっくり丁寧に読まないとダメですよ」と。
ガツーン!と頭をぶん殴られるほどの衝撃を受けました。
今まで自分がやってきたことが全否定されたのですから。
でも、教授の言う通りでした。
当時の私は、字面を追うスピードは早くても結局何も読めていなかったのです。
ましてや、専門用語ばかりが書いている論文をいくらハイスピードで読んだとて誰が評価してくれるというのでしょうか。
それよりも、何度でも読み込み、じっくり考え、自分なりの意見を論理立ててまとめることの方が何倍も重要なわけです。
それ以降、私は読み方を思い直し、とにかく一字一句見逃さないように読むように努めるようになっていきました。
「瞬読」ではなく「深読」への移行ですね。
けど、そんな中、ひとつ気づいたのが、速読は単なる確認作業にはそこそこ向いているかもしれない、ということでした。
逆にそれ以外ではむしろデメリットしかない。
だから、速読を身に付けるのは決して無駄なことではありません。
しかし、新しい知識を広げるという意味では経験上非常に不向き、というわけです。
冒頭で「ビジネス書を15分程度で・・・」ということを書きました。
読んだことがある方は分かると思いますが、大抵のビジネス書って内容似てますよね汗(特に新刊のやつ→原典に当たれば一挙解決w)
1冊読んだ知識が次の本にも繋がってくるので、新しい知識が必要ない場合特に早く読めてしまうのです。
つまり、あっという間に読めてしまう本って、あっという間に読んだという自己満足感は得られても、実はもうすでに自分の中に知識としてあった内容の確認作業でしかないので、ほぼ得るものは無い、ということなんですよね・・・(※いや、一方で夢中で読んでしまった小説はまた別かもしれません)。
特に、俗にいうビジネス書、ノウハウ本、自己啓発本といった類の本で起きがちな現象(得るものがないという現象)、というのは経験的に十分確信を持って言えることなのかなと思っています。
速読自体は便利なんですけどね・・・。
けど、すべて速読で解決できると思ってしまうと、むしろ弊害しかない、ということは何度でも書いておこうかなと思っています。
速読の本って、ちょっと胡散臭いですしね・・・。
受験で速読って使えるの?
では、受験で速読はどうなの?というと、正直、速読を身に付けることよりも、まず語彙力を固めることの方が先決かも。
そして、感覚的に読むよりもゆっくりでもいいからしっかり意味を理解する方を優先すべき、というのがカラフル学舎の立場ですかね。
これを書くと元も子もないのですが、そもそも、速読しなくてももともとテストは時間内に解けるように設計されていますからね。
当然、時間に対するテスト対策は十分するわけで、そこに速読がどれだけ優先順位が上になってくるかというと、実はそこまででもないのが実情なわけなのです。
速読より、ミスした問題を解けるようにしよう、解ける問題をもっと増やそう、が優先されるわけです。
速読できたら、時間に余裕が持てるだろう、というご意見はもっともかもしれませんが、その前にやるべきことがある、というのが非常に大切だと思っています。
というわけで、カラフル学舎では速読自体は教えられますが、基本教えていない、というのが現状です。
でも、必要に応じて指導することもやぶさかではない、ということも一応書いておこうかな?w