テスト効果とは?
聞いたり書いたりするだけより、それらを意図的に思い出すようにした方が記憶しやすい現象のことを「テスト効果」といいます。
自分の知識をなんとか頭の中で活かそうとすることで、記憶が強化されるというわけです。
認知心理学者のヘンリー・ロディガー教授(米国ワシントン大学)とジェフリー・カーピキ教授(パデュー大学)が行った実験が有名です。
実験は、以下のような条件で行われました。
A . ある文章を20分間ただ読む
B . ある文章を15分読んで10分間覚えていることを出来るだけ紙に書き出す
C . ある文章を5分読んで10分間覚えていることを出来るだけ紙に書き出すことを3回行う
ABCの3つのグループが実験で使われた文章の理解度テストを行ったところ・・・、
5分後にテストした時は、Aが一番正答率が高く、次にB、そしてCという結果でした。
しかし、一週間後に同じテストを行ったところ、なんとCが一番正答率が高く、次にB、Aという結果が出たのです。
この結果から、インプット重視の学習よりもアウトプット中心の学習の方が有効なのではないか、というのが示唆されたわけです。
参照:【研究結果】本当に何かを習得したいなら、学習ではなく〇〇が効果的
近頃のオンライン教材にはテスト効果の考え方が浸透している
ただ、考えてみれば「テスト効果」は当たり前の現象だと言えなくもありません。
覚えたことを使ってみることは勉強の基本だからです。
カラフル学舎は、atama +、スタディサプリなど、多種多様なオンライン教材6種類を一通り取り揃えています。
実際に使っているからこそ分かることがたくさんあるのですが、どの教材もやはり「テスト効果」を意識して作られているように感じられます。
動画授業はなるべく短く、そしてとにかく理解し切るまでテストを解かせる、といった点が非常にどれも似ています。
それから、教材云々よりも、むしろノートの取り方を非常に重視している点からも感じることができます。
実際「ノートの取り方」のレクチャー動画や専用テキストが準備されている教材ものもあります。
そういえば、アタマプラスの本部の方がカラフル学舎に視察に来た際も、ノートの重要性についてお話しされていました。
ノートの重要性
どうしてもオンライン教材のイメージには、書かない、というものがついてまわります。
でも、それは大きな誤解と言わざるを得ません。
どんなにいい教材であっても、ただ見るだけで覚えられるものなどないからです。
それこそ、テスト効果の結果がすべてを言い当てています。
教科書を読む時間はそこそこに(精読は大事ですが)、ノートに何度も反復した方が記憶の定着に役立つという結果は、感覚的にも受け入れやすいのではないかと思います。
つまり、知識を自分の中に入れるためには、思い出す作業が必要、そのためにはノートに書くことが必要だということです。
今、学校からタブレットが支給されていますが、どれだけの生徒がノートを使って学習を進めているかを考えると、そこだけ時々心配になります。
ただ問題を解くのではなく、あとで思い出せるきっかけになるものが必要だということです。
塾内平均48点アップ〜カラフル学舎の事例紹介〜
2月27日(日)、1月から毎週日曜日開催してきた中3ラストスパート講座が終わりました。
毎回同じ範囲、同じレベルの模試(5教科)を実施していったのですが、明らかに講座開始当初より成績に向上が見られました。
結果としては、塾内平均で48点アップしています。
これは、1教科あたり約10点アップですので「効果はあった」と言っていいでしょう。
ほぼ全員向上しました。
中には100点以上アップした生徒も出たので、本人も非常に喜んでいます。
生徒たちは、なぜ毎回テストだけをするのだろう?と思っていたかもしれません。
実はテスト効果は「勉強している当人は効果を実感しにくい」というのがあります。
少しでも覚える時間を増やした方が、短期的には記憶できるからです(これもテスト効果の実験で示唆されています)。
でも、記憶を長期的に定着させるには、うろ覚えでもテストを繰り返し何度でもチェックした方がいいというのが分かっています。
そのため、今回の講座では、テストが終わったら間違えたところを塾専用ノートにまとめる、というところを最重視していました。
そして、まとめても分からないところを講師陣がフォローする、というフローを徹底しました。
もしかすると、テスト結果が出たらすぐ、一人一人細かく指導し始めるのがよくある個別指導のやり方かもしれません。
おそらく、この方が親身に感じるし、生徒も教えてもらっていると感じやすいです。
でも、実際は、テスト効果の結果を踏まえ、一旦自分でどうしたらいいかを思い出しノートに書き出すという作業を挟んだ方が、結果的には成績が上がる、と私たちは考えています。
まとめ
今回は「テスト効果」について書いてみました。
全国にはたくさんの塾があり指導法も異なると思われがちですが、学力を伸ばそうとすると、おしなべて同じような形に落ち着くのではないかと思っています。
そうしますと、昔に比べていわゆるインプット教材が巷にあふれている分、アウトプットのバランスを塾側でコントロールしてあげることがより重視されるようになります。
適切なタイミングで適切なテストを行い、その結果と向き合う時間を意図的に設けることが、やはり何よりも成長を促すとても大事なポイントなのだと思います。
講師側は、生徒が一番伸びるところを奪ってやしないか、というのを見極めることが求められる、ということですね。
今回の記事はお役に立ちましたでしょうか?
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