定員割れという現実──どうなる古川高校?
数字で読み解く“古高”のこれから
構造的変化を直視し、地域の未来を考える(大崎市の進学分析)
1. はじめに:古川高校の定員割れとその背景
みつるん塾長です。
令和8年度、宮城県大崎地区の伝統校である古川高校は志願倍率「0.89倍」という定員割れに直面しました。このニュースは地域に大きなインパクトを与え、「古川高校もついに…」という空気が地元教育関係者に走ったのも事実です。
ただ、ここで必要なのは、表層的な見方ではなく、背景にある「構造的な変化」に目を向けることです。地域の人口減少、仙台進学の志向、通学エリアの再編など、古川高校を取り巻く環境は確実に変わってきています。
2. 志願倍率の推移:令和2年から令和8年まで
令和5年度までは1.2倍前後の倍率を維持していた古川高校ですが、令和6年度に志願者数が減少に転じ、令和8年度にはついに0.89倍へと落ち込みました。
志願者数と倍率の推移(普通科)
| 年度 | 志願者数 | 志願倍率 |
|---|---|---|
| 令和2年度 | 255人 | 1.06倍 |
| 令和3年度 | 278人 | 1.16倍 |
| 令和4年度 | 289人 | 1.20倍 |
| 令和5年度 | 294人 | 1.23倍 |
| 令和6年度 | 261人 | 1.09倍 |
| 令和7年度 | 265人 | 1.10倍 |
| 令和8年度 | 213人 | 0.89倍 |
3. 合格実績から見る古川高校の真の実力
東北大学合格者数(令和3~7年度)
難関大学・東北大学への合格者数は、年によって波はあるものの、毎年着実に複数名の合格者を出し続けています。令和7年度は合計8名の合格者が出ており、学校側の進路指導が難関大シフトに成功している証拠とも言えます。
| 年度 | 現役合格 | 浪人合格 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 令和3年度 | 1名 | 0名 | 1名 |
| 令和4年度 | 4名 | 2名 | 6名 |
| 令和5年度 | 6名 | 1名 | 7名 |
| 令和6年度 | 4名 | 0名 | 4名 |
| 令和7年度 | 7名 | 1名 | 8名 |
国公立大学合格者数の推移:安定の100名超え
毎年90〜100名以上の国公立大学合格者を輩出しており、古川高校の地域の基幹校としての底力が伺えます。ここで特筆すべきは、合格者のうち現役生が占める割合の圧倒的な高さです。
| 年度 | 現役合格 | 浪人合格 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 令和2年度 | 79名 | 13名 | 92名 |
| 令和3年度 | 80名 | 9名 | 89名 |
| 令和4年度 | 96名 | 7名 | 103名 |
| 令和5年度 | 112名 | 8名 | 120名 |
| 令和6年度 | 93名 | 2名 | 95名 |
| 令和7年度 | 97名 | 4名 | 101名 |
令和7年度の実績を詳しく見ると、定員240名に対し、国公立大学への現役合格者は97名。つまり、学年の約40.4%が「現役」で国公立大学に合格している計算になります。合格者101名に占める現役生の割合は96%に達しており、極めて現役合格力が高い学校だと言えます。
4. 進路選択の現実と戦略──仙台進学か地元進学か?
「仙台に出なければいい大学に進学できない」──そんな空気感が、少なからず将来大学進学を目指す中学生とその保護者の間にあることは否めません。仙台市内の進学校が持つ合格実績を見れば、そう感じてしまうのも無理はないでしょう。
しかし、先述の通り、古川高校からも東北大学をはじめとする難関大学への合格者は安定して出ています。つまり、進学実績だけを見て「仙台>地方」と一括りにするのは、正確とは言えません。
通学時間か、それとも「900時間」の余白か?
仙台進学(往復2時間想定)
年間 400時間
3年間で合計 1,200時間
古川高校(往復30分想定)
年間 100時間
3年間で合計 300時間
ドア・トゥ・ドア(玄関から教室まで)の移動を考えると、その差は3年間で実に「900時間」。これは、毎日追加で1時間勉強したとしても2年半以上に相当し、睡眠時間に換算すれば約110日分もの休息(8時間睡眠想定)を生み出せる、決定的な差となります。
仙台に出ることで通学・生活の負担が増え、本来の学力を発揮できないケースもあります。通学時間が短く、地元での生活リズムを維持しながら勉強に打ち込めるというメリットは、大学受験という長期戦において、想像以上に大きな「武器」となるのです。
5. 高校3年間で伸びる力を育てる古高の環境
古川高校は、「入学時点の学力がすべて」という価値観を超えて、3年間の学校生活で生徒が大きく成長できる環境を提供しています。
部活動、探究活動、課題研究、面談による進路指導──そのどれもが、生徒の「学力」だけでなく、「自己理解」や「主体性」を育てる要素として機能しており、受験におけるアウトプットだけを見て判断するのは早計です。
入学時には必ずしも上位の成績でなかった生徒が、3年間の努力によって国公立大学への合格を勝ち取っていく姿は、まさにこの「3年間で伸びる力」の証左と言えるでしょう。
6. 地域社会と進路選び:変わる時代の価値観
AIやICT教材、オンライン学習の普及によって、地方と都市部の「教育格差」は着実に縮まっています。情報の取得や外部教材の活用といった点では、もはやどこに住んでいても差はなくなりつつあります。
ただし、「情報への感度」という意味では、仙台などの都市部に分があるのも事実です。だからこそ、地方においても教育環境をしっかり整えている学習塾の存在が鍵を握ります。必要な情報や戦略を補完できる体制があれば、進学面でも大きなハンデにはなりません。
「仙台に出なければいい大学に進学できない」という固定観念にとらわれず、自分に合った環境で力を伸ばせる進路選びが、これからのスタンダードになっていくべきです。 その意味でも、大崎の地にあっても、都市部に劣らない情報提供や指導力を持つ塾の存在は、今後ますます重要になっていくでしょう。
7. おわりに:大崎地区の未来に向けて
倍率の低下、進学の二極化──古川高校が直面している現実は、決して楽観できるものではありません。しかし同時に、それは地域の教育の未来を真剣に考えるチャンスでもあります。
数字が語るのは「衰退」ではなく「変化」です。 そしてその変化にどう向き合うかは、地域全体の課題でもあります。 古川高校はこれからも、地域に根ざした高校として、多くの生徒の成長を支えていく存在であり続けるはずです。
私たち地域の学習塾──
たとえば、カラフル学舎もまた、この変化の中でどう在るべきかを常に問い直しながら、子どもたち一人ひとりの可能性を最大化できるよう、日々努力を続けていきたいと思います。
もちろん、「それでも仙台へ」という強い意志を持つ生徒には、私たちは全力で後押しをさせていただいています。どんな進路であっても、納得して踏み出した一歩を、私たちは一番近くで支え続けます。
✨ 明日みんなに教えたい!発見クイズ
テーマから広がる、皆さんと一緒に楽しむ知恵袋です。
教育学修士/ソーシャルデザイン研究者/スクールAI共同開発者
東北大学大学院にて教育学修士(教育心理学専攻)を取得。
2026年4月より宮城大学大学院 事業構想学研究科(ソーシャルデザイン領域)にて、地域教育とテクノロジーの融合を研究予定。
教育現場向けAI教材「AI先生NANDE」およびスクールAIの共同開発者として開発に携わり、
同プロジェクトは第20回 日本e-Learning大賞(経済産業大臣賞)を受賞。
AI×教育の実踐者として、東北大学・宮城教育大学等と連携し、学校教員向け研修・講演を多数実施。
STEAM教育の普及や、仙台二華中・古川黎明中・宮城県立高校入試の記述問題指導に定評がある。
英検・数検・漢検の地域会場運営を通じて学びの機会創出にも取り組み、
「地方からでも夢は叶えられる」を体現すべく、宮城県大崎市を拠点に首都圏との教育連携やAI教育事業を展開。
大崎市ネーミングライツ事業において、荒雄公園が「カラフル夢広場」として採択(2026年4月〜)。
教育・子ども・地域をつなぐ公共空間のデザインにも携わっている。
NPO法人おおさき地域創造研究会 理事、一般社団法人PLAY ART!せんだい 理事。
劇作家・面接対策本の著者として、表現力・コミュニケーション教育の分野でも活動中。

